
医薬品の特定販売とは、インターネット、電話、カタログなどを利用して、薬局や店舗以外の場所にいる購入者へ医薬品を販売・授与する方法です。
本ページでは、店舗販売業許可との関係、販売できる医薬品、ホームページ等の表示事項、情報提供や相談対応、届出の確認ポイントなどを整理して解説します。
現在、当事務所では医薬品の特定販売を含む医薬品関連手続きについて、新規のご依頼受付を一時停止しております。受付を再開する場合は、本ページにてご案内いたします。

特定販売は、単に医薬品をインターネットで販売する仕組みではありません。薬局または店舗販売業の許可を受けた薬局・店舗が、その許可内容に基づいて行う販売方法です。
そのため、販売できる医薬品の範囲だけでなく、店舗での貯蔵・陳列、ホームページ等の表示事項、情報提供の方法、相談対応の体制などもあわせて確認する必要があります。
販売サイトを用意するだけでなく、許可を受けた薬局・店舗の実態や医薬品の管理、購入者への情報提供まで含めて運用を整えることが重要です。

特定販売を行うには、薬局または店舗販売業の許可を受けた実店舗が前提になります。
インターネット販売を行う場合でも、販売サイトだけを用意すれば医薬品を販売できるわけではありません。許可を受けた薬局・店舗があり、その店舗で取り扱う医薬品について、特定販売の方法や必要な表示、情報提供の体制を整えていきます。
そのため、特定販売を始める際は、販売サイトだけでなく、実店舗の許可内容や医薬品の取扱い状況まで含めて確認する必要があります。

特定販売で取り扱える医薬品は、薬局または店舗販売業の許可を受けた薬局・店舗で取り扱っている医薬品が前提です。一般用医薬品のほか、薬局では薬局製造販売医薬品(毒薬・劇薬を除く)も対象となります。
また、2026年5月1日の制度改正により、要指導医薬品についても、特定要指導医薬品を除き、一定の要件のもとで特定販売が可能となりました。これまで要指導医薬品は対面販売が原則でしたが、現在は医薬品の区分によって販売方法を分けて考える必要があります。
一方、特定要指導医薬品は引き続き対面での販売が必要です。また、医療用医薬品は一般の購入者に向けた特定販売の対象にはなりません。
このため、特定販売を始める際は、販売予定の商品がどの区分に該当するかを確認し、その区分に応じた販売方法や情報提供の体制を整えることが重要です。
特定販売では、販売サイト上の表示だけでなく、実店舗での医薬品の取扱いも重要です。
販売する医薬品は、原則として、特定販売を行う薬局・店舗に貯蔵し、または陳列しているものを対象とします。そのため、許可を受けた店舗とは別の倉庫だけで在庫を管理して発送する方法や、販売店舗に在庫がない医薬品を別店舗から発送する方法については、制度との整合性を確認する必要があります。
一般の商品販売のように、販売サイト・在庫保管場所・発送拠点を自由に分けて考えるのではなく、許可を受けた薬局・店舗を中心に販売体制を組み立てることが重要です。
特定販売を始める際は、販売サイトの商品情報だけでなく、実店舗での貯蔵・陳列、在庫管理、発送方法、購入者からの相談対応まで、実際の運用を一つの流れとして整理しておくとよいでしょう。

インターネットで特定販売を行う場合は、ホームページ等に、薬局または店舗の管理・運営に関する事項、販売制度に関する事項、医薬品の表示に関する事項などを掲載する必要があります。
主に整理しておきたい事項は、次のようなものです。
表示事項は、単にページの見た目を整えるためのものではありません。購入者が、どの店舗から医薬品を購入するのか、どのような資格者が関与しているのか、相談したいときにどこへ連絡すればよいのかを把握できるようにするためのものです。
そのため、販売ページを作るときは、商品の写真や価格だけでなく、法令上求められる表示や相談先の分かりやすさもあわせて確認します。

特定販売では、購入者が店舗で直接商品を手に取らないため、購入前の確認から情報提供、相談対応までの流れをあらかじめ整えておく必要があります。
実際の販売では、購入希望者の年齢、症状、持病、副作用歴、他の医薬品の使用状況、医療機関の受診状況、妊娠・授乳の有無などを確認し、医薬品の区分に応じて、薬剤師または登録販売者が必要な情報を提供します。
情報提供では、用法・用量、使用上の注意、使用後に注意すべき症状、受診や相談が必要となる場面などを伝えます。そのうえで、購入者が内容を理解しているか、追加の質問や相談事項がないかを確認し、販売・発送へ進みます。
インターネット販売であっても、注文フォームやメールだけで機械的に完結させるのではなく、医薬品の区分や購入者の状況に応じて、必要な確認と情報提供ができる体制を整えておくことが重要です。

一般用医薬品の中には、販売時の確認をより厳格に行う必要がある「指定濫用防止医薬品」があります。
2026年5月1日の制度改正により、従来の「濫用等のおそれのある医薬品」に関する取扱いが見直され、指定濫用防止医薬品として新たな販売ルールが設けられました。
特定販売で取り扱う場合は、通常の情報提供に加えて、購入者の年齢、他店や他の指定濫用防止医薬品の購入状況、複数購入等の場合の理由などを確認し、適正な使用のために必要な数量に限って販売するなどの対応が必要です。
対象となる医薬品や確認方法は制度改正の影響を受けるため、実際に販売する際は最新の情報を確認して運用する必要があります。

特定販売では、販売した医薬品の内容や販売時の対応について、医薬品の区分に応じた記録の作成・保存が必要です。
記録する内容や保存方法は、取り扱う医薬品の区分によって異なります。第1類医薬品などでは、販売した日時や医薬品名、対応した薬剤師など、所定の事項を記録して保存する必要があります。
インターネット販売では、注文履歴、メール、相談記録、販売記録などが複数のシステムに分かれることもあります。そのため、誰が、いつ、どの医薬品を、どのような確認や情報提供を経て販売したのかを後から確認できるよう、記録の残し方をあらかじめ整理しておくことが重要です。
実際の運用に合わせて記録方法を決めておくと、販売後の確認や相談対応、店舗管理もしやすくなります。

特定販売を行う場合は、新規の許可申請時にその内容を申請書類へ反映するほか、すでに営業している薬局・店舗で後から特定販売を始める場合には、事前の届出が必要です。
届出で主に整理する事項は、次のとおりです。
これらの内容は、販売サイトの表示や運用方法と、実際の薬局・店舗での営業内容が一致していることが重要です。
販売サイト公開後に、表示内容や通信手段、販売時間などを変更する場合は、届出内容との整合性も確認します。必要書類や届出様式の取扱いは管轄によって異なるため、実際の手続きでは最新の案内を確認してください。
特定販売では、販売サイトの作成だけでなく、注文受付、情報提供、相談対応、発送、販売記録までを、実店舗の運営と一体として考える必要があります。
特に注意したいのは、販売サイト上の内容と実際の店舗運営がずれてしまうことです。たとえば、実店舗に貯蔵・陳列していない医薬品を販売する運用や、必要な資格者が勤務していない時間帯に販売する運用については、制度との整合性を確認する必要があります。
また、販売ページでは、医薬品の効能・効果だけを強調するのではなく、リスク区分、情報提供の方法、相談先、店舗情報なども分かりやすく表示することが重要です。
さらに、オークション形式による販売や、購入履歴等に基づいて特定の医薬品を自動的に勧めるレコメンドなど、医薬品の適正使用を損なうおそれのある販売方法・広告方法にも注意が必要です。

医薬品の特定販売を始める際は、販売サイトだけでなく、実店舗の許可内容、取り扱う医薬品、資格者の体制、情報提供、販売記録、届出内容までを一体として整理することが重要です。
特に、次の点を確認しておきます。
これらはそれぞれ独立した事項ではなく、実際の販売方法の中でつながっています。たとえば、取り扱う医薬品の区分によって必要な資格者や情報提供の方法が変わり、販売サイトの表示内容も実店舗の許可や運営状況と一致している必要があります。
そのため、特定販売はECサイトの準備だけで進めるのではなく、店舗運営全体を見ながら制度に沿って整えることが重要です。
特定販売に関連する内容は、以下の記事でも整理しています。
店舗販売業を行う場合は、特定販売だけでなく、店舗の構造設備、資格者の配置、管理体制についても確認が必要です。また、動物用医薬品販売業は、人用医薬品の販売制度とは所管や手続きの枠組みが異なるため、別の記事で整理しています。
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