
毒物又は劇物を販売・授与する場合は、原則として、店舗ごとに毒物劇物販売業登録が必要です。登録にあたっては、販売業の区分、毒物劇物取扱責任者、貯蔵設備、必要書類などを確認したうえで申請を進めます。また、登録後も更新や変更届などの手続きが必要になります。
本記事では、毒物劇物販売業登録の申請の流れや必要書類、取扱責任者、貯蔵設備、登録後の手続きについて整理しています。
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毒物劇物販売業登録は、毒物又は劇物を販売・授与するために必要となる登録です。
毒物及び劇物取締法第3条第3項では、毒物又は劇物の販売業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売・授与し、又は販売・授与の目的で貯蔵、運搬、陳列してはならないとされています。
また、同法第4条では、毒物又は劇物の販売業の登録は、店舗ごとに受けるものとされています。
この登録は、薬局開設許可や医薬品販売業許可とは別の制度です。そのため、薬局開設許可を受けている薬局であっても、毒物劇物を販売する場合は、原則として毒物劇物販売業登録が必要です。
なお、薬局開設許可や医薬品販売業許可の申請時に提出済みの書類がある場合は、自治体の取扱いにより、一部の添付書類を省略できることがあります。ただし、添付書類を省略できるだけで、毒物劇物販売業登録そのものが不要になるわけではありません。

毒物劇物販売業登録は、毒物又は劇物を新たに販売・授与する場合に必要です。
また、店舗の移転や全面改築、開設者の変更などを行う場合には、改めて新規登録が必要になります。
たとえば、次のような場合です。
一方、店舗名称の変更や一部の構造設備の変更、毒物劇物取扱責任者の変更などは、新規登録ではなく変更届の対象となります。
必要な手続きは変更内容によって異なるため、店舗移転、全面改築、事業譲渡、法人の合併・分割などを予定している場合は、事前に管轄の保健所へ確認しておくことが大切です。
毒物劇物販売業には、取扱う品目に応じて、次の3種類があります。
一般販売業は、すべての毒物又は劇物を販売・授与できる登録区分です。幅広い毒物劇物を取り扱う場合は、一般販売業の登録が必要になります。
農業用品目販売業は、主に農薬として使用される毒物又は劇物のうち、厚生労働省令で定められた品目を販売・授与できる登録区分です。
特定品目販売業は、厚生労働省令で定められた特定の毒物又は劇物のみを販売・授与できる登録区分です。
農業用品目販売業と特定品目販売業では、取り扱える品目が限定されます。そのため、登録申請前に、販売予定の毒物劇物がどの区分に該当するかを確認する必要があります。
毒物劇物販売業登録の手続きは、自治体によって細かい取扱いが異なりますが、一般的には次のような流れで進みます。
まず、店舗の所在地を管轄する保健所などに事前相談を行います。
店舗の平面図、貯蔵設備、取扱品目、毒物劇物取扱責任者の資格などを確認します。薬局開設許可と同時に申請する場合は、両手続きで使用する図面や設備内容もあわせて確認しておくと、申請準備を進めやすくなります。
店舗で毒物劇物を直接取り扱う販売形態では、毒物劇物取扱責任者の設置や貯蔵設備の準備が必要です。
毒物劇物は、その他の物と区分して保管し、漏れ・飛散・しみ出しを防止でき、適切に施錠・管理できる貯蔵設備に保管する必要があります。なお、注文を受けて取り次ぐなど、店舗で毒物劇物を直接取り扱わない販売形態では、毒物劇物取扱責任者や貯蔵設備を必要としない取扱いがあります。
必要書類をそろえ、管轄の窓口へ登録申請を行います。申請書類は自治体ごとに様式が定められているため、申請先の最新様式を確認して作成します。
申請後、店舗の構造設備や貯蔵設備などについて立入調査が行われます。保管庫の位置、施錠、区分保管、表示、漏えい防止などが確認されるため、申請前に図面と現地の状態が一致しているか確認しておくことが大切です。
立入調査や申請内容の審査を経て、基準を満たしていることが確認されると、登録票が交付されます。登録後は、登録内容に変更が生じた場合や営業を廃止した場合などに、変更届や廃止届などの手続きが必要です。

毒物劇物販売業登録申請では、主に次の書類が必要です。
店舗で毒物劇物を直接取り扱う場合は、さらに次の書類が必要です。
薬局開設許可や医薬品販売業許可の申請と同時に手続きを行う場合は、自治体の取扱いにより、一部の添付書類を省略できる取扱いがあります。
必要書類は、申請先の自治体や販売業の区分、毒物劇物を直接取り扱うかどうかによって異なります。また、図面の名称や様式、提出部数、申請手数料なども自治体ごとに異なるため、申請前に店舗所在地を管轄する保健所の最新案内を確認しておくことが大切です。

店舗で毒物劇物を直接取り扱う販売業では、毒物劇物取扱責任者を設置する必要があります。毒物劇物取扱責任者は、毒物又は劇物による保健衛生上の危害を防止するため、毒物劇物の取扱いや管理を行う責任者です。
毒物劇物取扱責任者になれる主な資格は、次のとおりです。
薬剤師の場合は薬剤師免許証、応用化学に関する学課を修了した者は卒業証明書や履修単位修得証明書、試験合格者は合格証書などで資格を確認します。
なお、毒物劇物取扱者試験には、一般、農業用品目、特定品目の区分があり、合格した試験の種類によって毒物劇物取扱責任者として取り扱える品目の範囲が異なります。
毒物劇物取扱責任者は、資格者を名義上置くだけでは足りません。営業者との使用関係があり、実際に毒物劇物の取扱いや保管、危害防止に関する業務を行える体制が必要です。
一方、注文を受けて仕入先から販売先へ直接配送する、いわゆるオーダー販売など、店舗で毒物劇物を直接取り扱わない販売形態では、毒物劇物取扱責任者の設置は不要です。ただし、この場合でも毒物劇物販売業の登録自体は必要です。

毒物劇物販売業登録では、毒物劇物を安全に保管・管理できる貯蔵設備が整っているかが重要な確認事項です。
主に次のような点が確認されます。
毒物劇物は、医薬品や一般の商品と同じように保管することはできません。毒物劇物の性質に応じて、区分保管、施錠、表示、漏えい防止などの管理が必要です。また、貯蔵設備などの重要部分を変更した場合は、変更届の対象となり、変更後の平面図や貯蔵庫の立体図などが必要になります。
薬局や店舗で毒物劇物を取り扱う場合は、申請書類や図面の内容と、実際の貯蔵設備・保管状況が一致しているかを事前に確認しておくことが大切です。
毒物劇物販売業登録の有効期間は、登録を受けた日から6年間です。継続して毒物劇物を販売する場合は、有効期間が終了する1か月前までに登録更新申請を行う必要があります。
更新申請では、登録更新申請書に登録票の原本を添付して提出します。申請後は、必要に応じて立入調査が行われ、申請内容の審査を経て登録が更新されます。有効期間が切れるまでに更新申請を行わなかった場合、その後も毒物劇物を販売するには、新たに毒物劇物販売業登録を受ける必要があります。新たな登録を受けるまでは、毒物劇物を販売できません。
毒物劇物販売業は、登録を受けた後も、登録内容の変更や営業の廃止などに応じて手続きが必要です。
次のような変更があった場合は、変更した日から30日以内に変更届を提出します。
変更内容に応じて、登記事項証明書、戸籍関係書類、変更前後の平面図、貯蔵設備を示す図面、資格証明書、診断書、宣誓書などの添付書類が必要になります。なお、別法人の設立や店舗移転など、開設者や店舗所在地が変わる場合は変更届では対応できず、新たに毒物劇物販売業登録を受ける必要があります。
毒物劇物販売業を廃止した場合は、廃止した日から30日以内に廃止届を提出します。廃止届には登録票の原本を添付します。廃止後30日を過ぎた場合は、遅延理由書の提出も必要です。
登録票の記載事項に変更があった場合は、登録票の書換え交付申請を行うことができます。ただし、登録内容そのものの変更については、別途変更届の提出が必要です。また、登録票を紛失・き損した場合は、再交付申請を行うことができます。
東京都では、登録票の書換え交付申請手数料は2,800円、再交付申請手数料は4,900円です。

毒物劇物販売業登録では、申請書類をそろえるだけでなく、取り扱う品目、販売形態、店舗の構造設備、毒物劇物取扱責任者などを事前に整理しておくことが重要です。
特に、次の点を確認しておきます。
特に、薬局開設とあわせて毒物劇物販売業登録を行う場合は、店舗の平面図、貯蔵設備、取扱品目、毒物劇物取扱責任者、申請時期などを早めに整理しておくと、薬局開設許可と並行して準備を進めやすくなります。
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