医療保障制度と医療保険の種類|公費負担医療・保険薬局との関係

医療保障制度と医療保険の種類|公費負担医療・保険薬局との関係

医療保障制度と医療保険の種類について、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度、公費負担医療制度、保険薬局、資格確認との関係を分かりやすく解説します。
行政書士 大塚 博幸
行政書士 大塚 博幸

医療保障制度と薬局運営の参考情報
日本の医療保障制度は、公的医療保険を中心に、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度、公費負担医療制度などで構成されています。


薬局を運営する場合、薬局開設許可とは別に、保険薬局指定、患者の資格確認、公費負担医療の取扱い、処方箋の受付、保険請求などで医療保険制度と関係します。


本記事では、医療保険の主な種類、公費負担医療制度、保険薬局との関係、処方箋受付時に確認する事項などを整理しています。


現在、当事務所では薬局関連手続きの新規受付を一時停止しております。



医療保障制度と薬局運営の関係

医療保障制度と薬局運営の関係
医療保障制度は、病気やけがをしたときに、必要な医療を受けられるようにするための制度です。


薬局を運営する場合は、薬局開設許可だけでなく、保険薬局としての指定、患者の保険資格の確認、公費負担医療の取扱い、処方箋の確認、保険請求など、医療保険制度と関係する場面があります。


たとえば、処方箋を受け付ける際には、患者が加入している医療保険の種類、資格情報、負担割合、公費負担医療の対象となるかどうかを確認します。また、保険薬局として調剤を行う場合には、保険請求や患者負担の取扱い、制度ごとの指定・届出も関係します。


医療保険制度そのものは薬局開設許可とは別の制度ですが、実際の薬局運営では、保険薬局指定や公費負担医療の取扱いと密接に関係します。そのため、開設前から基本的な仕組みを整理しておくことが重要です。


医療保険の主な種類

医療保険の主な種類
日本の公的医療保険は、大きく分けると、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度に整理できます。それぞれ加入する人や保険者が異なるため、薬局で処方箋を受け付ける際には、患者がどの医療保険に加入しているかを確認するとともに、資格情報や負担割合に誤りがないかも確認します。


現在は、医療機関や薬局の受付で、マイナ保険証や資格確認書などを用いて資格確認を行うため、保険資格や負担割合を適切に確認できる体制を整えておくことが重要です。

被用者保険

被用者保険は、会社員、公務員、船員など、主に雇用されて働く方が加入する医療保険です。代表的なものには、全国健康保険協会が運営する協会けんぽ、企業などが設立する健康保険組合、公務員等を対象とする共済組合、船員保険などがあります。


薬局で処方箋を受け付ける場合、患者が被用者保険に加入しているときは、マイナ保険証や資格確認書などにより、保険資格や負担割合を確認します。

国民健康保険

国民健康保険は、被用者保険や後期高齢者医療制度に加入していない方を対象とする医療保険です。自営業者、農業者、退職者、フリーランスの方などが加入することが多く、市区町村が運営する国民健康保険のほか、医師国保、薬剤師国保、建設国保など、業種ごとに組織される国民健康保険組合もあります。


薬局で処方箋を取り扱う際には、患者の保険資格や負担割合に加えて、保険者番号や公費負担医療との併用の有無も確認します。特に国民健康保険組合の場合は、市区町村国保とは保険者が異なるため、資格情報や請求上の取扱いを確認しておくことが重要です。

後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度は、原則として75歳以上の方が加入する医療制度です。また、65歳から74歳までの方でも、一定の障害がある場合には、申請により対象となることがあります。


後期高齢者医療制度では、所得などに応じて窓口負担割合が異なるため、薬局では資格情報とあわせて負担割合を確認したうえで、調剤や請求事務を行います。


処方箋受付時に確認する保険情報

処方箋受付時に確認する保険情報
薬局で処方箋を受け付ける際は、調剤内容だけでなく、患者の保険資格、負担割合、公費負担医療の有無などもあわせて確認します。


現在、保険薬局ではオンライン資格確認が原則となっており、患者の保険資格や負担割合などを確認しやすくなっています。資格喪失後の受診や保険情報の入力ミスを防ぐためにも、受付時の資格確認は重要です。

保険資格と負担割合の確認

受付時には、マイナ保険証や資格確認書などにより、患者の保険資格が有効か、負担割合に誤りがないかを確認します。処方箋に記載された保険情報と、確認した資格情報に違いがある場合は、そのまま処理せず、必要に応じて患者や処方元医療機関へ確認します。


保険情報のずれは、患者負担や保険請求に影響するため、受付時の段階で確認できる体制を整えておくことが重要です。

処方箋の使用期間の確認

処方箋には使用期間があり、原則として交付の日を含めて4日以内です。この4日間には、土曜、日曜、祝日も含まれます。ただし、長期旅行などの特殊な事情があり、医師や歯科医師が処方箋に別途使用期間を記載した場合は、その記載された日まで有効となります。


連休前後などは使用期間を過ぎやすいため、受付時に処方箋の日付を確認する流れを決めておくと、患者対応や処方元医療機関への確認も進めやすくなります。

公費負担医療の確認

公費負担医療の対象となる処方箋を取り扱う場合は、受給者証、公費番号、自己負担上限額管理票などを確認します。複数の公費を併用する場合は、制度ごとの適用関係や患者負担、自己負担上限額管理票への記載なども確認が必要です。


これらの確認が不十分だと、患者負担や保険請求の内容に誤りが生じるおそれがあります。そのため、薬局を開設する段階から、保険薬局指定やオンライン資格確認とあわせて、公費負担医療を含む受付から請求までの流れを整理しておくことが重要です。


公費負担医療制度とは

公費負担医療制度の確認
公費負担医療制度は、特定の病気や障害、生活状況などに応じて、医療費の全部または一部を公費で負担する制度です。


薬局で関係する主な制度には、生活保護法による医療扶助、障害者総合支援法による自立支援医療、難病法による指定難病の医療費助成、感染症法に基づく医療などがあります。


このほか、原子爆弾被爆者に対する援護に関する医療、石綿による健康被害の救済に関する制度、小児慢性特定疾病に関する医療費助成などが関係することもあります。


公費負担医療は、制度ごとに対象者、患者負担、請求方法などが異なります。薬局で対象となる処方箋を取り扱う場合は、受給者証の内容、公費番号、自己負担上限額、他の公費との併用の有無などを確認し、それぞれの制度に沿って処理します。


保険薬局指定と開設時期の確認

保険薬局指定と開設時期の確認
薬局が保険調剤を行うには、薬局開設許可とは別に、保険薬局としての指定を受ける必要があります。


薬局開設許可を受けただけでは保険調剤を行うことはできないため、開設予定日と保険薬局指定の申請時期をあわせて整理しておくことが重要です。


指定日とスケジュールの確認

保険薬局の指定は、申請者から特に希望がない場合、原則として毎月1日付けで行われます。指定申請には管轄する地方厚生局の事務所ごとに締切日が設定されているため、希望する時期から保険調剤を開始する場合は、あらかじめ申請期限を確認しておく必要があります。


開設後すぐに保険調剤を行う予定がある場合は、薬局開設許可の手続きと並行して、保険薬局指定の申請時期も早めに確認しておくことが重要です。


なお、開設者の変更や移転など一定の要件を満たす場合には、遡及指定が認められることがあります。ただし、通常の新規開設で当然に遡及指定が認められるものではありません。

公費負担医療に関する指定・届出

公費負担医療の種類によっては、保険薬局の指定とは別に、制度ごとの指定や届出が必要になります。


たとえば、生活保護法による医療扶助、自立支援医療、難病医療費助成などでは、制度ごとに指定や届出の有無を確認します。薬局を開設する際は、開設後にどのような処方箋を取り扱う予定かを整理し、保険薬局指定とあわせて公費負担医療に関する手続きも確認しておくと、開設後の対応がスムーズです。


薬局開設前の実務上の注意点

薬局開設前に整理しておきたい実務上の注意点
薬局運営では、医療保険の種類、公費負担医療、保険薬局指定、処方箋受付時の確認などが相互に関係します。そのため、薬局を開設する際は、これらを個別に見るのではなく、開設後の受付から請求までの流れとして整理しておくことが重要です。

取り扱う処方箋の内容を想定する

一般的な外来処方箋が中心なのか、公費負担医療の処方箋が多いのか、在宅や施設の処方箋を扱う予定があるのかによって、受付体制や請求事務の準備は変わります。


開設前の段階でおおまかな取扱いを想定しておくと、保険薬局指定、公費負担医療の指定、レセコン設定、スタッフへの共有事項を整理しやすくなります。

受付から請求までの流れを決める

処方箋を受け付けた後は、資格確認、処方箋の使用期間、公費負担医療の有無、患者負担、請求事務へと確認がつながります。


どの段階で誰がどこまで確認するのかを決めておくことで、受付時の確認漏れや後日の請求修正を減らしやすくなります。オンライン資格確認やレセコンの運用も含めて、受付から請求までを一体で考えておくことが重要です。

地域公費や自治体の取扱いを把握する

乳幼児医療費助成などの地域公費は、自治体ごとに取扱いが異なります。


開局する地域で利用の多い公費や、近隣医療機関から想定される処方箋の内容を把握しておくと、受付時の確認や患者への説明がしやすくなります。

制度改正に対応できる体制を作る

医療保険や公費負担医療は、制度改正や運用変更が行われることがあります。


開設時だけでなく、運営開始後も厚生労働省、地方厚生局、自治体、審査支払機関などの情報を確認し、必要に応じて受付や請求の運用を見直せる体制を整えておくことが重要です。


医療保障制度と医療保険に関する参考情報

医療保障制度や医療保険の仕組みをあらかじめ整理しておくことで、薬局開設後の受付や請求事務も進めやすくなります。薬局開設を検討する際は、開設許可だけでなく、保険薬局指定や公費負担医療の取扱いもあわせて確認しておくことが大切です。


薬局開設許可や関連手続きについては、薬局開設許可の手続きもあわせてご確認ください。


現在、当事務所では薬局関連手続きについて、新規のご依頼受付を一時停止しております。