
飼い犬による事故は、咬みつきだけではありません。散歩中に犬が飛びついたり、急に近づいたことで相手が転倒したりするなど、犬の行動がきっかけで人にけがをさせてしまうことがあります。
このような事故では、犬がどのような行動をしたかだけでなく、飼い主がリードや周囲の状況をどのように管理していたかも重要になります。
この記事では、飼い犬が人にけがをさせてしまったときに確認したい、飼い主の管理責任、事故後の記録、相手方への対応、損害保険、再発防止について整理します。

飼い犬による事故には、咬みつきだけでなく、飛びつきや接触、リードの扱いなどが原因で相手にけがをさせてしまうケースもあります。
たとえば、次のような事故です。
犬が直接咬んでいなくても、犬の行動がきっかけで相手がけがをした場合には、事故が起きた状況や飼い主の管理方法を確認することが大切です。

飼い犬が人にけがをさせた場合、問題になるのは、犬が咬んだかどうかだけではありません。飛びつきや接触、相手が犬を避けようとして転倒した場合などでも、事故が起きたときに飼い主がどのように犬を管理していたかが重要になります。
散歩中であれば、リードの長さや犬との距離、自宅であれば門扉や玄関の管理、来客時の犬の待機場所などが確認のポイントになります。
飼い主にとっては普段どおりの行動でも、犬が苦手な方や動物に慣れていない方にとっては、大きな恐怖や事故につながることがあります。そのため、周囲の状況に応じて犬を適切に管理することが大切です。

飼い犬が人にけがをさせてしまったときは、まず相手方の安全を確認します。出血や痛み、転倒の有無などを確認し、必要に応じて医療機関の受診を案内します。
事故直後は、責任の有無や費用の話を急いで決めるよりも、けがへの対応と安全確保を優先することが大切です。そのうえで、事故が起きた状況を記録しておきます。
記録しておきたい主な内容は、次のとおりです。
時間が経つと、事故の状況や会話の内容が曖昧になりやすくなります。メモや写真、メールなど、後から確認できる形で残しておくと整理しやすくなります。

事故後は、犬の行動だけでなく、事故が起きたときの管理状況も振り返っておくことが大切です。
散歩中の事故であれば、リードが長すぎなかったか、首輪やハーネスが緩んでいなかったか、人や自転車との距離を十分に取れていたかなどを確認します。
自宅での事故であれば、門扉や玄関の開閉、来客時の犬の待機場所、外へ飛び出すおそれがなかったかなどを見直します。店舗や施設で犬を扱っていた場合には、利用者との距離や犬の待機場所、従業員の対応方法なども確認します。
こうした振り返りは、責任を決めるためだけではなく、同じ事故を繰り返さないためにも役立ちます。

飼い犬が人にけがをさせてしまったときは、まず相手方のけがの状態を確認し、必要な対応を落ち着いて行います。医療機関を受診した場合には、受診日やけがの内容など、後から確認できる情報を整理しておくとよいでしょう。
事故直後に、責任の有無や治療費などの金額について、その場で断定的な話をするのは避けた方が安全です。事故の状況やけがの程度、保険の有無などによって、整理すべき内容が変わるためです。
相手方とのやり取りは、必要に応じてメールやメッセージなど、後から確認できる形で残しておくと安心です。
なお、治療費、慰謝料、示談などの個別具体的な問題は、事故の状況によって判断が異なります。責任の有無や金額、示談内容について判断に迷う場合には、弁護士へ相談するとよいでしょう。

飼い犬による事故では、加入している損害保険が使える場合があります。ペット保険のほか、自動車保険、火災保険、個人賠償責任保険、クレジットカードの付帯保険などに、日常生活での賠償責任に関する補償が付いていることがあります。
事故が起きたときは、まず加入している保険の内容を確認します。
補償内容や手続きは契約によって異なるため、事故後は早めに保険会社や代理店へ確認するとよいでしょう。

飼い犬による事故を防ぐためには、日頃の管理方法を見直すことが大切です。
散歩中は、リードを長く伸ばしすぎない、人通りの多い場所では犬を近くに寄せる、通行人や自転車との距離を取るなど、周囲の状況に応じた管理が必要です。首輪やハーネスが緩んでいると、犬が抜け出してしまうおそれがあるため、散歩前に装着状態も確認しておきます。
自宅では、門扉や玄関の開閉、来客時の犬の待機場所、宅配業者や近隣の方が来たときの対応などをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
また、犬の性格や行動に不安がある場合には、しつけ教室やドッグトレーナーなどに相談する方法もあります。
再発防止は、事故後だけでなく、日常の飼育管理として続けていくことが大切です。
飼い犬が人にけがをさせた事故のうち、犬が人を咬んだ場合には、保健所等への届出や狂犬病に関する獣医師の確認が必要になります。
このページでは、飛びつきや接触、転倒などを含む人身事故全般について整理しています。犬が人を咬んだ場合の届出や狂犬病確認については、別記事「飼い犬が人を咬んだときの届出と確認事項」で詳しく整理しています。
ペットホテル、トリミングサロン、犬のしつけ教室、ドッグラン、ペットショップなど、事業として犬を扱う場面でも、人にけがをさせる事故が起きることがあります。
事業者の場合には、一般の飼い主としての注意に加えて、利用者や従業員の安全管理、施設内での犬の管理方法、事故発生時の対応手順などを確認しておくことが大切です。
事故が起きた場合には、事故の内容、犬の状態、従業員の対応、利用者への説明、再発防止のために見直した内容などを記録しておくとよいでしょう。

飼い犬が人にけがをさせてしまったときは、まず相手方の安全を確認し、必要に応じて医療機関の受診を案内します。
事故後は、犬がどのような行動をしたのか、リードや首輪の状態、周囲の状況、相手方のけがの内容、その後の対応などを記録しておくことが大切です。また、加入している損害保険の内容も確認しておきます。
犬が人を咬んだ場合には、これらに加えて、保健所等への届出や狂犬病に関する獣医師の確認が必要になります。
事故後の対応だけでなく、散歩中のリード管理、自宅での飛び出し防止、来客時の対応など、日常の管理方法を見直し、同じ事故を繰り返さないようにすることも大切です。

・東京都葛飾区金町出身。平成21年の開業以来、15年以上にわたり地域の事業者を中心に各種行政手続きのサポートを行う行政書士。
建設業許可、産業廃棄物収集運搬許可、各種許認可申請など、事業者向け手続きにも対応している。行政書士としては珍しい「一級土木施工管理技士」の資格と、建設コンサルタントとしての実務経験を有しており、制度面だけでなく実務の視点からのアドバイスを行っている。
『週刊新潮』『女性自身』『産経新聞』などで取材協力。著書に『行政書士が教える墓じまい・改葬の進め方』(税務経理協会)がある。
これまでのメディア掲載・著書・講演実績は「メディア掲載・著書・講演実績」でご紹介しています。