犬同士のトラブルが起きたときの確認事項|飼い主が残したい記録

犬同士のトラブルが起きたときの確認事項|飼い主が残したい記録

犬同士のトラブルが起きたときに確認したい、けがの状態、動物病院の受診記録、相手方飼い主の連絡先、ドッグランや施設のルール、写真や領収書などの記録について整理します。
行政書士 大塚 博幸
行政書士 大塚 博幸

犬同士のトラブルが起きたときの確認事項を整理するイメージ
ドッグラン、公園、散歩中、ペット同伴施設などでは、犬同士のトラブルが起きることがあります。犬に咬まれた、追いかけられて転倒した、接触してけがをしたなど、状況はさまざまです。


犬同士の事故では、その場で状況を整理しておかないと、後から事実関係や治療経過が分かりにくくなることがあります。そのため、犬のけがの状態だけでなく、相手方飼い主の連絡先や事故当時の状況、動物病院の受診記録などを残しておくことが大切です。


この記事では、犬同士のトラブルが起きたときに確認したいこと、動物病院を受診した場合に残しておきたい記録、相手方飼い主とのやり取りで注意したい点を整理します。



犬同士のトラブルとは

犬同士のトラブルについて説明するイラスト
犬同士のトラブルには、咬みつきだけでなく、飛びかかり、追いかけ、接触、リードの絡まり、ドッグラン内での衝突などもあります。


たとえば、次のような場面です。

  • ドッグランで他の犬に咬まれた
  • 散歩中に相手の犬が近づきすぎてけがをした
  • リードが絡まり、犬が転倒した
  • 大型犬に追いかけられて小型犬が負傷した
  • ペット同伴施設内で犬同士が接触した
  • 相手の犬に驚いて逃げようとし、けがをした

犬同士のトラブルでは、どちらか一方だけが原因とは限りません。犬の行動、リードの状態、飼い主の管理状況、施設の利用ルール、その場の環境など、複数の事情が関係します。そのため、事故直後の印象だけで判断せず、まずは当時の状況を整理しておくことが大切です。


まず確認したい犬のけがの状態

犬同士のトラブル後に犬のけがを確認する飼い主
犬同士のトラブルが起きた直後は、まず自分の犬の状態を確認します。外から見える傷が小さくても、咬み傷が深い場合や、時間が経ってから腫れや痛みが出ることがあります。特に、毛に隠れて傷が見えにくい犬では注意が必要です。


あわせて、相手の犬にけががないか、興奮状態が続いていないかも、相手方の飼い主と確認します。


確認しておきたい主な点は、次のとおりです。

  • 出血の有無
  • 咬み傷や引っかき傷の場所
  • 歩き方に異常がないか
  • 触れたときに痛がる場所がないか
  • 震え、元気消失、呼吸の乱れがないか
  • 食欲や水を飲む様子に変化がないか

けがの程度が分かりにくいときは、早めに動物病院へ相談します。事故直後は興奮して痛みを表に出さず、帰宅後や翌日に症状が現れることもあるため、その後の様子も確認しておくことが大切です。


動物病院を受診したときに残したい記録

動物病院で犬の受診記録を確認する様子
犬がけがをして動物病院を受診した場合は、治療内容や経過が分かる記録を残しておくことが大切です。


残しておきたい主な記録は、次のとおりです。

  • 診療明細書
  • 領収書
  • 診断内容が分かる書類
  • 処方された薬の内容
  • 通院日
  • 治療内容
  • 獣医師から受けた説明内容
  • けがの写真

診療明細書や領収書は、治療内容や費用を確認する資料になります。事故直後の写真だけでなく、治療後の状態や経過も写真で残しておくと、けがの変化を確認しやすくなります。


また、獣医師から説明を受けた内容もメモしておくと、後から治療経過を整理するときに役立ちます。


相手方の飼い主について確認しておきたいこと

犬同士のトラブル後に連絡先や記録を残すイメージ
犬同士のトラブルが起きたときは、後から連絡が取れるように、相手方の飼い主の氏名や連絡先を控えておくことが大切です。


その場では慌ててしまい、十分な情報を聞かないまま別れてしまうこともあります。しかし、後から犬の症状が悪化したり、動物病院で治療が必要になったりすることもあるため、連絡先や犬の情報を残しておくと安心です。


控えておきたい事項は、次のとおりです。

  • 相手方飼い主の氏名
  • 電話番号
  • 住所または連絡可能な情報
  • 相手の犬の名前
  • 犬種、大きさ、特徴
  • ワクチン接種や狂犬病予防注射の状況
  • 事故が起きた日時と場所

相手方の情報を聞くときは、感情的に詰め寄るのではなく、後から状況を整理するために必要な確認として、落ち着いて話すことが大切です。可能であれば、連絡先をメモするだけでなく、電話番号がつながるかをその場で確かめておくと安心です。


ドッグランや施設内で起きた場合の確認事項

ドッグランで犬同士のトラブルが起きた場合の確認事項
ドッグラン、ペット同伴施設、犬のイベント会場などでトラブルが起きた場合には、施設の利用ルールも見直しておきます。


施設によっては、利用規約や同意書の中で、犬同士の事故が起きた場合の対応方法や、利用者同士で解決すべき事項などが定められていることがあります。


見ておきたい点は、次のとおりです。

  • 施設の利用規約
  • ドッグラン内の注意事項
  • リード着用の有無
  • 小型犬エリア、大型犬エリアの区分
  • ワクチン接種証明書の取扱い
  • 事故発生時の施設側への報告方法
  • 施設スタッフが事故を把握しているか

施設内で事故が起きた場合には、管理者やスタッフにも発生状況を伝えておくとよいです。後から事実関係を整理する際に、施設側の記録や当時の状況が参考になることもあります。


ただし、施設側に責任があるかどうかは、管理状況、利用規約、事故の具体的な状況によって異なります。そのため、施設の説明、利用規約、事故当時の状況を記録として残しておくことが大切です。


写真・領収書・やり取りの記録を残しておく

犬同士のトラブル後に現場写真を撮るイメージ
犬同士のトラブルでは、時間が経つにつれて記憶があいまいになります。そのため、できるだけ早い段階で、写真や書類、やり取りの内容を残しておくことが大切です。


残しておきたい資料や記録は、次のようなものです。

  • 事故現場の写真
  • 犬のけがの写真
  • 相手の犬の特徴が分かる情報
  • 動物病院の診療明細書
  • 領収書
  • 通院日や治療経過のメモ
  • 相手方とのメールやメッセージ
  • 施設スタッフに伝えた内容
  • 目撃者がいる場合の情報

特に、メールやメッセージでやり取りをした場合には、削除せずに保存しておくと安心です。電話で話した内容についても、日時、相手、話した内容を簡単にメモしておくと、後から見直しやすくなります。


写真を撮る場合には、犬のけがだけでなく、事故が起きた場所、リードの状態、施設の掲示物なども写しておくと、当時の状況を整理しやすくなります。


治療費や損害賠償の話になるときの注意点

犬同士のトラブルについて説明するイラスト
犬同士のトラブルでは、動物病院の治療費や通院費用などについて、飼い主同士で話し合いになることがあります。ただし、どちらの飼い主にどの程度の責任があるのか、治療費をどの範囲で負担するのか、慰謝料や損害賠償が認められるのかといった点は、個別の事情によって判断が分かれます。


たとえば、次のような事情が関係します。

  • どちらの犬が先に近づいたのか
  • リードをつけていたか
  • ドッグラン内だったか、通常の道路上だったか
  • 施設の利用ルールに違反していなかったか
  • 犬の大きさや性格
  • 過去にも同じような行動があったか
  • 飼い主が制止できる状況だったか

そのため、事故直後の印象だけで「相手がすべて悪い」「こちらに責任はない」と決めつけず、状況を落ち着いて整理することが大切です。話し合いの中で、治療費の負担や損害賠償、示談内容などについて意見が分かれる場合には、弁護士へ相談することが考えられます。


このページでは、責任の有無や賠償額の判断ではなく、事故後に残しておきたい記録や確認事項を中心に整理しています。


犬が人を咬んだ場合との違い

犬同士のトラブルと、犬が人を咬んだ場合では、確認すべき内容が異なります。犬が人を咬んだ場合には、自治体への届出や狂犬病に関する確認など、公的な手続きが関係します。


一方、犬同士のトラブルでは、人を咬んだ場合と同じ手続きが必要になるとは限りません。事故の状況や地域によって取扱いが異なるため、必要に応じて保健所や自治体の窓口に確認します。


犬が人を咬んだ場合の届出や狂犬病確認については、別記事「飼い犬が人を咬んだときの届出と確認事項」で整理しています。また、犬が人にけがをさせた場合の飼い主の管理責任や事故後の対応については、別記事「飼い犬が人にけがをさせたときの確認事項」で整理しています。


ペット事業者の場合の注意点

ペット事業者が犬同士の事故記録を確認するイメージ
ドッグラン、ペットホテル、トリミングサロン、犬の預かり施設など、ペット事業者の管理下で犬同士のトラブルが起きることもあります。ペット事業者の場合は、一般の飼い主同士のトラブルとは別に、施設管理、預かり中の管理体制、利用規約、事故発生時の記録などが関係します。


確認しておきたい点は、次のとおりです。

  • 事故が起きた日時と場所
  • 預かり中だったのか、飼い主同伴中だったのか
  • 犬同士を一緒にしていた理由
  • スタッフの配置状況
  • 利用規約や同意書の内容
  • 事故発生時の状況
  • 飼い主への説明内容
  • 動物病院への搬送や受診の有無

第一種動物取扱業として営業している事業者は、動物の管理状況や施設の運営体制について、日頃から記録を残しておくことが大切です。


事故後の説明が食い違うと、利用者とのトラブルが大きくなる可能性があります。事故発生時の状況、対応経過、飼い主への連絡内容は、後から確認できるように記録しておくと安心です。


まとめ

犬同士のトラブル後に記録を見直す飼い主
犬同士のトラブルが起きたときは、まず犬のけがの状態を確認し、必要に応じて動物病院を受診することが大切です。そのうえで、事故が起きた日時、場所、相手方飼い主の連絡先、相手の犬の情報、施設の利用ルール、診療明細や領収書、写真、やり取りの内容などを残しておくと、後から状況を整理しやすくなります。


犬同士の事故では、どちらか一方だけに原因があるとは限りません。犬の行動、飼い主の管理状況、施設のルール、その場の環境など、複数の事情が関係します。


事故直後は慌ててしまうこともありますが、その場で分かることを落ち着いて記録しておくことで、後日のやり取りにも備えやすくなります。

大塚法務行政書士事務所 代表行政書士 大塚 博幸
 

行政書士 大塚博幸(一級土木施工管理技士)
・東京都葛飾区金町出身。平成21年の開業以来、15年以上にわたり地域の事業者を中心に各種行政手続きのサポートを行う行政書士。


建設業許可、産業廃棄物収集運搬許可、各種許認可申請など、事業者向け手続きにも対応している。行政書士としては珍しい「一級土木施工管理技士」の資格と、建設コンサルタントとしての実務経験を有しており、制度面だけでなく実務の視点からのアドバイスを行っている。

 
主な実績・活動

『週刊新潮』『女性自身』『産経新聞』などで取材協力。著書に『行政書士が教える墓じまい・改葬の進め方』(税務経理協会)がある。


これまでのメディア掲載・著書・講演実績は「メディア掲載・著書・講演実績」でご紹介しています。