
迷子犬や捨て犬と思われる犬を見つけたとき、「かわいそうだから保護したい」「このまま飼ってもよいのだろうか」と考えることがあります。
しかし、外にいる犬が本当に捨てられた犬なのか、飼い主のもとから迷子になっている犬なのかは、見た目だけでは判断しにくいものです。
首輪がない、汚れている、人に慣れていないといった事情があっても、飼い主が探している犬である可能性があります。
この記事では、迷子犬や捨て犬と思われる犬を見つけたときに確認しておきたい連絡先、所有者確認、マイクロチップ、保護する際の注意点について整理します。

迷子犬や捨て犬と思われる犬を見つけたときは、まず犬と周囲の安全を確認します。
道路上や交通量の多い場所にいる場合、急に近づくと犬が驚いて走り出してしまうおそれがあります。犬が興奮している、けがをしている、警戒しているときは、無理に捕まえようとせず、警察や自治体の窓口へ連絡します。
犬が人に慣れていて保護できそうな場合でも、その犬に飼い主がいないとは限りません。散歩中に逃げてしまった犬、雷や花火の音に驚いて迷子になった犬、災害や事故で飼い主とはぐれた犬など、さまざまな事情が考えられます。
そのため、最初から「捨て犬だから飼える」と判断するのではなく、飼い主が探している可能性を前提に確認を進めます。

外で見つけた犬をそのまま自宅に連れて帰り、何の連絡もしないまま飼い始めることは避けます。
犬には飼い主がいる可能性があります。迷子犬の場合、元の飼い主が探していることもあります。首輪や迷子札がない場合でも、マイクロチップが装着されている犬もいます。また、見つけた場所の近くに飼い主がいる場合や、すでに警察、保健所、動物愛護センターに迷子の届出が出されている場合も考えられます。
保護した人に悪意がなくても、連絡や届出をしないまま時間が経つと、後からトラブルにつながる可能性があります。「飼ってもよいか」を考える前に、まずは飼い主を探す手続きや連絡先を確認します。

迷子犬や捨て犬と思われる犬を見つけたときは、地域の警察、保健所、動物愛護センターなどへ連絡します。迷子犬については警察に届出が出されていることもあるため、警察への確認とあわせて、保健所や動物愛護センターなど自治体の窓口にも連絡しておくことが重要です。
保健所や動物愛護センターでは、犬の保護、収容、飼い主への返還、譲渡などに関する情報を扱っています。相談先の名称や担当部署は自治体によって異なり、「動物愛護センター」「動物管理センター」「保健所生活衛生課」「動物愛護相談センター」など、地域によって呼び方も異なります。
連絡するときは、次のような内容を伝えると状況を説明しやすくなります。
自治体によって対応方法が異なるため、犬を自宅で一時的に預かる場合でも、事前に窓口へ確認しておくと安心です。
犬を安全に保護できた場合は、首輪、迷子札、鑑札、狂犬病予防注射済票などがないか確認します。
迷子札に電話番号や名前が書かれている場合は、飼い主に連絡できる可能性があります。鑑札や注射済票がある場合は、登録されている自治体を通じて飼い主の確認につながります。
また、近年は犬や猫にマイクロチップが装着されている例も増えています。マイクロチップは外から見ただけではわかりません。動物病院、保健所、動物愛護センターなどで専用の読取機を使って確認します。
マイクロチップが装着されていて登録情報が確認できれば、飼い主の特定につながります。ただし、保護した人が登録情報を自由に確認できるわけではないため、動物病院や自治体、関係機関の案内に従って確認します。

迷子犬や捨て犬と思われる犬を保護したときは、後から状況を説明できるように記録を残しておくと、経緯を振り返りやすくなります。
保護した直後は覚えていることでも、時間が経つと細かな場所や状況が曖昧になりやすくなります。
残しておきたい内容は、次のとおりです。
写真を撮る場合は、犬の全体、顔、首輪、特徴のある模様などがわかるようにしておくと、飼い主確認に使いやすくなります。SNSや掲示板で情報を出す場合は、犬を返す相手が本当の飼い主か確認しやすいように、特徴をすべて公開しすぎない配慮も求められます。

飼い主が見つかった場合は、犬の特徴や迷子になった経緯などを聞き取り、間違いがないか慎重に確認します。犬の名前、性別、年齢、特徴、首輪や迷子札の内容、迷子になった場所や日時などを照らし合わせると、飼い主であることを確認しやすくなります。
警察、保健所、動物愛護センターを通じて手続きが進んでいる場合は、窓口の案内に従います。個人同士で直接引き渡す場合でも、日時、場所、相手の連絡先、引き渡した内容を簡単に残しておくと、後から確認しやすくなります。
保護中に動物病院を受診した場合や、フードなどの費用が発生した場合は、費用の扱いで認識がずれることもあります。金銭面の話が必要になるときは、感情的に進めず、内容を整理して確認します。法的な責任や費用負担、返還をめぐる争いが問題になる場合は、弁護士への相談を検討します。

警察、保健所、動物愛護センターなどに連絡しても、すぐに飼い主が見つからない場合があります。その場合でも、すぐに自分の犬として飼い始めるのではなく、自治体や関係機関から案内された手続きや期間を確認します。
地域によって、保護、収容、返還、譲渡、一時預かりの流れは異なります。自宅で一時的に預かれるケースでも、必ず事前に窓口へ確認しておきます。
将来的にその犬を迎えたいと考える場合も、飼い主確認や譲渡の手続きがどのように進むのかを把握しておく必要があります。犬を飼うことになった後は、犬の登録、狂犬病予防注射、マイクロチップ情報の変更や登録、動物病院での健康確認なども関係します。
「飼い主が見つからなかったからそのまま飼う」という判断ではなく、必要な手続きや確認を済ませたうえで迎えることが重要です。

ペット事業者、保護団体、個人で保護活動を行う場合は、一般の飼い主以上に慎重な確認が求められます。
保護した犬を預かる、譲渡する、継続的に飼養する場合には、動物愛護管理法、自治体の条例、第一種動物取扱業や第二種動物取扱業の届出が関係する場合があります。
営利目的で犬を預かる、販売する、訓練する、展示するなどの場合には、第一種動物取扱業の登録が関係します。また、営利を目的としない保護活動であっても、飼養施設を設置し、一定頭数以上の動物を取り扱う場合には、第二種動物取扱業の届出が必要になります。
保護した犬の健康状態、ワクチン、マイクロチップ、譲渡時の説明、譲渡契約書、飼い主確認の記録なども重要です。ペット事業者や保護活動を行う場合には、事前に自治体の動物愛護担当窓口へ確認し、必要な登録や届出の有無を整理しておきます。

迷子犬や捨て犬と思われる犬を見つけたときは、見た目だけで「飼い主がいない」と判断しないよう注意します。首輪や迷子札がなくても、マイクロチップが装着されている場合や、飼い主が警察、保健所、動物愛護センターに届出をして探しているケースがあります。
犬を保護したときは、警察や自治体の窓口へ連絡し、見つけた日時、場所、犬の特徴、保護した状況などを記録しておくと、後から確認しやすくなります。
迷子犬や捨て犬と思われる犬を見つけたときは、すぐに自分で飼うと判断せず、警察や自治体の窓口へ連絡し、飼い主の確認や必要な手続きを進めることが大切です。

・東京都葛飾区金町出身。平成21年の開業以来、15年以上にわたり地域の事業者を中心に各種行政手続きのサポートを行う行政書士。
建設業許可、産業廃棄物収集運搬許可、各種許認可申請など、事業者向け手続きにも対応している。行政書士としては珍しい「一級土木施工管理技士」の資格と、建設コンサルタントとしての実務経験を有しており、制度面だけでなく実務の視点からのアドバイスを行っている。
『週刊新潮』『女性自身』『産経新聞』などで取材協力。著書に『行政書士が教える墓じまい・改葬の進め方』(税務経理協会)がある。
これまでのメディア掲載・著書・講演実績は「メディア掲載・著書・講演実績」でご紹介しています。