
遺言書を作成しようと思ったとき、最初に悩むのが「どの形式で作ればいいのか?」という点ではないでしょうか。
「とりあえず手書きでいいの?」
「公正証書は費用が高いと聞いたけど…」
この記事では、3種類の遺言書の違いを“費用・手間・確実性”で比較し、失敗しない遺言書の書き方・選び方までわかるよう丁寧に解説します。メリットだけでなく、「選んではいけないケース」や「失敗しないための手順」も専門家の視点で詳しくお伝えします。
葛飾区で遺言書作成を検討されている方は、まず全体像を「【葛飾区】遺言書作成完全ガイド」で整理しておくと安心です。

民法で定められた普通の遺言方式には、以下の3種類があります。まずは3種類の特徴を比較し、全体像をつかんでおきましょう。
それぞれの違いを一覧で比較すると、以下のようになります。
各要素を比較すると、以下のような位置づけになります。
それぞれの詳細を解説します。

【費用の目安】 数百円〜(紙・ペン代のみ)※法務局保管制度を利用する場合は3,900円
最も手軽で、費用をかけずに作成できる方法です。紙とペン、印鑑があれば、今すぐにご自宅で作成することができます。
令和2年から始まった法務省管轄の「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば、自筆証書遺言の弱点である「紛失・改ざん・検認の手間」を解消できます。
手数料は3,900円と安価ですので、自筆で作成する場合は、この制度の利用を検討してください。→ 「 自筆証書遺言の作成ルールと保管制度 」の解説はこちら

【費用の目安】 財産額や財産を受け取る人の人数などにより異なります。
※公証人手数料のほか、正本・謄本の交付手数料や証人費用などがかかることがあります。
公証人が遺言者の意思を確認し、その内容を公正証書として作成する遺言書です。当事務所で最もお勧めしている形式であり、相続手続きを円滑に進めやすい方法です。
→ 詳細は「 公正証書遺言の作成ガイド 」をご覧ください。
【費用の目安】 13,000円(公証役場手数料)※別途、証人費用などがかかります。
「遺言書があること」は公証人と証人に証明してもらいますが、「中身」は誰にも見せずに封印して保管する方法です。実務ではほとんど利用されていません(年間件数も極めて少ないです)。

ここからは、遺言書の選び方を「目的別・状況別」に整理します。
「結局、どれを選べばいいの?」と迷われている方へ。状況や目的に合わせたお勧めの選び方をまとめました。
確実性を重視する場合は、公正証書遺言が有力な選択肢です。
多少の費用はかかりますが、将来の家族のトラブルや手続きの負担(検認の手間など)を考えれば、最もコストパフォーマンスが良い方法です。特に、「不動産を特定の子供に継がせたい」「前妻との間に子供がいる」といった複雑な事情がある場合は、公正証書遺言を検討するとよいでしょう。
「自筆証書遺言」を作成し、法務局の保管制度を利用するのがお勧めです。公証人手数料はかからず(保管申請手数料3,900円のみ)、検認も不要になります。ただし、内容の法的な不備(遺留分への配慮など)まではチェックしてもらえないため、作成時には専門家のサポートを受けることを強くお勧めします。
文字を書くことが難しい方でも、公正証書遺言を作成できます。また、公証人に病院や介護施設へ出張してもらうこともできます(別途、日当や交通費がかかります)。
ここでは、実際に遺言書を作成する際の具体的な手順と、事前に役所などで集めておくべき書類について詳しく解説します。
① 遺言の内容を決める(誰に・何を・どれだけ):漠然と書き始めるのではなく、財産の洗い出しを行い、「誰に何を渡すか」を明確にします。遺言執行者も決めておくとスムーズです。
② 必要書類を手元に用意する:正確な地番や家屋番号を書くために「登記事項証明書(登記簿謄本)」、口座番号を確認するために「通帳」を用意します。
③ 全文を自筆で書く:財産目録以外は、すべて手書きでなければなりません。パソコン作成やコピーは無効です。※財産目録(不動産リストや預金リスト)はパソコン作成でもOKですが、全ページに署名押印が必要です。
④ 日付を正確に書く:「令和〇年〇月〇日」と特定できるように書きます。「令和〇年〇月吉日」などは無効です。
⑤ 署名・押印をする:戸籍通りの氏名を書き、印鑑を押します。認印でも可ですが、偽造を疑われないよう実印の使用を推奨します。
⑥ 保管する:自宅の金庫などで保管するか、法務局の保管制度を利用します。
→ 「 自筆証書遺言の書き方 」でもっと詳しく解説しています。
① 専門家や公証役場へ相談:行政書士などに相談し、遺言の原案を作成します。その後、管轄の公証役場へ連絡し、公証人と事前の打ち合わせを行います。
② 必要書類の収集:以下の書類を役所で取得します。
③ 証人2名の確保:公正証書遺言には、利害関係のない証人2名の立ち合いが必須です。※推定相続人、未成年者などは証人になれません。証人を用意することが難しい場合は、行政書士などの専門家に依頼する方法もあります。
④ 作成当日(公証役場にて):遺言者、証人2名が公証役場へ出向きます。公証人が遺言内容を読み上げ、間違いがないか確認した後、全員で署名・押印します。
⑤ 完成・保管:原本は公証役場に厳重に保管され、「正本」と「謄本」が遺言者に手渡されます。
→「 公正証書遺言の作成ガイド 」
それぞれの形式で、作成時にかかる費用の目安です。
※専門家に文案作成(書き方の指導)を依頼する場合は、別途報酬(数万円〜)がかかります。
財産の額に応じて、公証役場に支払う「公証人手数料」がかかります。
【手数料の目安】
※財産額が1億円以下の場合は、原則として遺言加算13,000円が加算されます。このほか、正本・謄本の交付手数料などがかかります。
※公正証書遺言の手数料は、財産額、財産を受け取る人の人数、遺言内容などによって異なります。
※別途、証人の日当などがかかる場合があります。
「遺言書なんて、うちは財産が少ないから関係ない」と思っていませんか?実は、遺言書がない場合のトラブルは、財産が少ないご家庭ほど多いのが現実です。

① 遺産分割協議が必要になる
銀行口座の解約や名義変更には、原則として相続人全員による遺産分割協議や必要書類の提出が求められます。
②「誰が介護をしたか」などで揉める
生前の介護や貢献をどのように評価するかについて、相続人間で意見が分かれることがあります。「あんなに世話をしたのに同じ金額はおかしい」など、感情的な対立につながることもあります。
③ 子供のいない夫婦の場合
夫が亡くなると、妻だけでなく夫の兄弟姉妹も相続人となり、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。遺言があれば、妻にすべて相続させることが可能です。
どの種類の遺言書を作る場合でも、特に確認しておきたいのが「遺留分」です。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に最低限保障されている遺産の取り分のことです。例えば、「長男に全財産を譲る」という遺言書を書いたとしても、次男には遺留分を請求する権利(遺留分侵害額請求権)が残ります。
この遺留分を無視して遺言書を作成すると、死後に子供同士で泥沼の争いになる可能性があります。「付言事項(ふげんじこう)」で理由を添えたり、生前贈与と組み合わせたりするなど、家族構成や財産内容に応じて、事前に検討することが大切です。
遺言書の種類や作成について、よくいただくご質問にお答えします。
確実性を重視する場合は、公正証書遺言が有力な選択肢です。費用を抑えたい場合は、自筆証書遺言と法務局の保管制度を組み合わせる方法があります。自宅で保管する場合は、紛失や発見されないリスクに注意が必要です。
「気力・体力・判断能力」がある今がベストなタイミングです。認知症になってしまうと、公正証書であっても作成できなくなる可能性があります。「まだ早いかな」と思った時こそ、まずは無料相談で情報収集を始めてください。
原則として全文を手書きする必要があります。パソコンで作成した遺言書は無効です。ただし、2019年の法改正により、添付する「財産目録(不動産や預金のリスト)」だけはパソコン作成やコピー添付が認められるようになりました(全ページへの署名押印が必要です)。
いいえ、誰でもなれるわけではありません。推定相続人(配偶者や子供)やその家族、未成年者などは証人になれません(民法974条)。知人に頼むのが難しい場合は、守秘義務のある行政書士などの専門家に依頼するのが一般的です。
はい、いつでも変更(撤回)可能です。新しい日付で遺言書を作成すれば、古い遺言書の内容と抵触する部分は、新しいものが優先されます(民法1023条)。公正証書で作ったものを、後に自筆で書き直すことも可能です(逆も可)。

遺言書の種類について解説しました。ポイントをまとめます。
「公正証書遺言にしたいが、費用が心配…」、「財産がどれくらいだと手数料はいくら?」、「自分の家族構成だと、どの遺言書がいいの?」など専門家に相談すれば、ご家族や財産の状況に応じた方式や、必要となる費用を具体的に確認できます。
まずは大塚法務行政書士事務所の無料相談をご利用ください。

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・東京都葛飾区金町出身。平成21年の開業以来、15年以上にわたり地域に密着して遺言・相続・墓じまいのサポートを行う。行政書士のほか、一級土木施工管理技士の資格を有し、建設コンサルタントとしての実務経験もある。
『週刊新潮』『女性自身』『産経新聞』など、お墓の専門家として取材協力多数。 著書に『行政書士が教える墓じまい・改葬の進め方』(税務経理協会)がある。
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