相続財産とは?含まれるのもの・含まれないものを解説|大塚法務行政書士事務所|東京都葛飾区
相続財産になるもの・ならないもの、相続財産に含まれるもの、みなし相続財産に含まれるものなど解説。|当事務所では、相続のご相談から手続き代行まで、必要な範囲でサポートをさせて頂きます。|経験・実績豊富な事務所です。安心してお問合せ下さい。
行政書士 大塚博幸
行政書士 大塚博幸

相続財産とは?含まれるのもの・含まれないものは?

相続財産を説明する女性
・一般的に相続財産とは、被相続人から引き継いだもののうち、金銭に換算できるものを言います。

 

《遺産分割の対象及び相続税の課税対象》になるのは、この様な金銭評価のできる財産と言えます。

 

相続財産の代表的なものとして不動産・預貯金等があげられます。一方、生命保険・死亡退職等の場合、受取人の指定がある時は、その受取人の固有の財産となり相続財産に原則含まれません。

 

ここでは、相続財産に含まれるもの・含まれないものを具体例をあげて解説いたします。

 

1.相続財産になるもの・ならないもの(例)

(1) 相続財産になるもの

相続手続きで悩む人
・相続財産として代表的なものを記載いたします。

  1. 不動産:土地・建物の所有権
  2. 動産:現金・預貯金・自動車・家財道具・貴金属等の所有権
  3. 債権:株式・売掛金・賃金・賃借債権・土地建物の賃借権
  4. 無形財産権:特許権・商標権・意匠権・著作権等
  5. 契約上の地位
  6. 債務:借金・未払金・買掛金・損害賠償の支払い等・・・

 

一般的には、不動産・預貯金・有価証券・自動車等の相続が多いかと思いますが、注意したいのは借金等も相続財産に含まれますので、相続財産総額で負債が多い場合は、相続放棄を検討しましょう。

 

(相続があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行います。)

(2) 相続財産にならないもの

・相続財産に含まれないものとして・・

  • 身元保証等の保証期間に制限のない保証債務
  • 年金受給権・死亡退職金・香典等・・があります。

但し、相続財産に含まれないものでも経済効果が認められるもの(死亡退職金等)は、みなし相続財産》として相続税が課せらることになります。

みなし相続財産の例

・みなし相続財産とは、相続財産に含まれないが相続税申告の際には、その財産額も含まれるものを言います。

 

・故人が保険料を負担していた生命保険(死亡保険金)
・死亡退職金
・相続開始前3年以内の贈与
・故人から生前、相続時精算課税の適用を受けて取得した財産等

 

生命保険や年金など判断が難しいものがありますので、専門家又は、関係機関に一度ご相談された方が良いかと思います。

2.生命保険金(死亡保険金)

回答者
 

・生命保険金は、受取人の指定(本人以外)があれば、その受取人の「固有の財産」となりますので、相続財産には含まれません。(※受取人の指定がない場合は相続財産に含まれます。)

 

又、相続を放棄した場合でも、「固有の財産」に該当する場合は、受取可能です。

(1) 受取人の違いによる各ケース

・受取人の違いによる財産種別は、下記のケースになります。生命保険の受取人

(2) 保険料負担と受取人の違いによる課税対象

・被相続人が保険料を負担していた場合、受取人の固有の財産となり相続税の課税対象になります。

 

しかし保険料の負担者と受取人が異なる場合、課税の対象が異なります。参考例して下記のケースをご覧ください。
課税種別
生命保険は、保険料負担者・受取人等により相続財産(遺産分割対象)になるか?受取人の固有の財産(遺産分割対象外)になるか?又、どの税目になるのか等、複雑な面があります。遺産分割協議や納税を行う際には、よく確認してから行われた方が良いかと思います。

 

その他、生命保険の受取人が相続人の1人に指定されていた場合、その受取額が「特別受益」として持ち戻しの計算対象になるのか?問題になる場合がありますが、相続人間によほどの不公平が生じる極端なケースを除き特別受益にあたらないとされています。

 

つまり受取人に指定されていた相続人は、生命保険の受取と遺産分割による相続財産の受取が可能となります。

回答者
 

生命保険金が相続税の課税対象になる場合は、「法定相続人数✕500万円」までは非課税されています。但し、相続人以外の方が受取った場合は、非課税枠の適用がありません。

3.死亡退職金

回答者
 

生命保険金と同様に、受取人の指定の有無によって相続財産(遺産分割対象)又は、固有財産(遺産分割対象外)になります。

・死亡退職金は、在職中に亡くなった社員等の方に会社から支給されるもので、受取人は、通常 会社の「支給規定」に定められていますので、通常の場合は、受取人の固有財産になります。又、死亡退職金にも生命保険同様に「法定相続人数✕500万円」までの非課税枠があります。

4.香典・弔慰金

回答者
 

香典・弔慰金(会社から遺族に送られる見舞金等)は、「葬式・祭祀費用」に充てられるもので、相続財産に入らないと考えられます。

(1) 香典

・一般的に香典の受取人は喪主であり、香典は葬式費用充てられるものと考えられます。香典から葬式費用を引き、残金がある場合は、祭祀主催者が祭祀費要として受取ることが香典の性質に合うものと考えられます。

 

香典を相続人で分配することも考えられますが、相続財産ではない為、喪主の裁量によるものとなります。(相続人による香典の分割請求権ないと考えられます。)

(2) 弔慰金

・弔慰金は、故人と生活を共にしていた人を、援助・慰めの為に送られるものであり、勤務先会社の規定や法律により受取人の範囲が定められています。

 

又、相続財産に含まれず、受取人固有の財産になる為、相続人が分割請求する権利もないと考えられます。(但し、受取人=相続人の場合は、特別受益に該当する場合があります。)

5.祭祀財産

回答者
 

祭祀財産とは・・

  1. 先祖代々の系譜
  2. 祭具及び墳墓の所有権等になります。

祭祀財産は、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継(祭祀承継者)し、相続の対象にならないとされています。

 

高価な墓地・仏壇・仏具を被相続人が所有していても、相続人が相続する対象とはされません。※被相続人の遺体や遺骨も祭祀財産に含まれます。

・祭祀承継者には、被相続人から①「生前に指定された人・遺言で指定された人」がなります。②遺言の指定がない時は、「慣習」に従って決まりますが、この「慣習」が明らかでなく争いがある時は、③家庭裁判所で祭祀承継者を決めることになります。

 

※祭祀承継者は、相続人以外でもなることが可能です。(特別な付き合いがあった人等)

 

祭祀財産の承継は 相続とは無関係であり、相続人が祭祀を承継したことによって、相続分が減らされたり、或は、祭祀を営む為の費用を相続財産から控除して取得したり、また相続分が増えたりすることはありません。

6.マイナス財産(借金等)

回答者
 

相続財産は、マイナスの財産も含まれます。借金や買掛金、未払税金、医療費、住宅ローンなどの債務が含まれている場合には、プラスの財産だけではなく、これらの財産も引き継ぐことになります。

 

これを「単純承認」といいます。

・相続財産は、マイナスの財産も含まれます。借金や買掛金、未払税金、医療費、住宅ローンなどの債務が含まれている場合には、プラスの財産だけではなく、これらの財産も引き継ぐことになります。これを「単純承認」といいます。

 

単純承認では、「プラス」と「マイナス」でマイナスの方が大きい場合は、被相続人に代わって借金だけ支払っていくことにもなりかねません。

 

この様な状況を防ぐ為には、相続があったことを知った時から3ヶ月以内に「相続の放棄」又「は限定承認」を行う必要があります。

 

基本的には、相続開始から何も行わなければ単純承認となり、「相続の放棄・限定承認」は家庭裁判所に申述する必要があります。

 

特に、被相続人が事業を営んでいた場合等、負債を抱えている場合もありますので、早めに相続財産調査を行い、負債が明らかに大きい場合は「相続放棄」・どちらかよくわからない場合は「限定承認」を3ヶ月以内に行っておいた方が安心です。

7.保証人

回答者
 

民法(896条)では、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。但し、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない」と規定されています。

上記により「一身専属的な権利及び義務」以外のものは、全て相続人が相続する事になります。

 

※(一身専属的な権利・義務とは「扶養の権利義務」や「子を監護教育する権利」等。)

 

従って、保証債務も原則、相続財産とされ、相続人が相続した場合には、その保証債務を支払う義務があります。

 

但し、保証契約の中でも、「具体的な債務額の確定していない基本的な身元保証」、「債務の責任限度額及び保証期間を定めないでした保証」については、相続人が予測できない責任を生ずる可能性があることから相続性を有しないとされております。

 

従って、相続開始時に「金額が確定されている保証債務」等については、相続されることになり、相続人に支払い義務が生じる事になります。

 

相続開始時には、どの様な財産があるのか?慎重に調査することが重要です。

8.死亡事故による損害賠償請求権

・被相続人が交通事故死して得た損害賠償請求権は、相続財産として扱われます。

 

交通事故において加害者等に対し、死亡した被害者自身が生きていたら請求するであろう損害の賠償については、基本的に、不法行為に基づく損害賠償請求権という権利となり、相続人が相続することになります。

 

また、被害者の遺族が受けた精神的損害の賠償金を受給できる権利とされる慰謝料請求権も同様に、相続財産として扱われます。

回答者
 

損害賠償請求権は、相続人が損害や加害者を知ったときから3年間行使しないと時効によって消滅します。

 

不法行為のときから20年を経過したときも消滅します。

※死亡事故のような「不法行為に基づく損害賠償請求権」では、胎児も生まれたものとみなされますので、お腹の子も亡くなった被相続人の損害賠償請求権を相続することはもちろん、固有の慰謝料請求権があります。

 

但し、胎児である今の時点では請求できませんので、生まれた後、法定代理人が代わりに請求することになります。

 

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